智ちゃんの地元に1人、
私と仲良しの女の子がいた。

その子にいろいろ聞くと
とあるゲーセンが
暴走族の溜まり場で…
智ちゃんの目撃情報もあった。

会いたかった私は、
そこへ通い始めた。

毎晩、毎晩、家を抜け出して…

3駅先の…彼の地元へ足を運んだ。

割りと、早く…
偶然を装って、彼に会えた。

私は、毎日、通った。

そして
「あっ、智ちゃん」って声をかけた。

彼は、いつも友達に囲まれていて…
挨拶を交わす程度だった。

それでも、良かったんだ。

大体、3~4日に1回の
ペースで会えると解った。

ウキウキしながら毎日、
遠い距離を通った…。

ストーカーだよね。

それでも、会いたくて…
1回も逃したくなくて…

二泊三日の修学旅行、休んだんだ。

智ちゃんに会える可能性が
1回減るのが嫌で…。

今でも友達と
思い出話しながら寂しく思うよ?

でも、もう一回あの日に戻れても
迷わず、休むと思うんだ。

諦めかけたあの日、
落ち込んでたあの日、

智ちゃんに会えたから。

話せたから…

修学旅行とか…
全てが、どうでも良くなって。

あなたに会うためなら
あの頃の私は何でも出来たんだ。

あなたは知らないだろうけど…

私は何度も野宿したんだ…

あのゲーセンの外で…
あなたに会えなかった日。

帰りの足がなくて始発まで。

遠くで聞こえる暴走族の
バイクの音を…
もしかしたら、
あなたと関係あるかもしれないと…

聞きながら、何度も外で眠ったんだ。
寒い寒い夜もあったけど。

やはり、地元では有名で…

調べれば調べるほど
凄い人だと解った。

とても綺麗な彼女がいるとか…
女にも後輩にもモテるだとか…

彼女になりたいなんて望まなかった。

ただ、何を聞いても…
やっぱり君が好きだったんだ。