拉致事件が終わって、しばらくは
ラブラブな日々が続いた。

でも、後になって思えば…
あの時の私は、ワガママで、
調子にのってて、あっちゃんは
きっと我慢することが多かったはず。

愛されてる自信がありすぎて
彼を思いやる事が
おろそかになってたんだ。

○○がカッコいいとか…
○○にコクられたとか…

ほのめかして彼を不安にさせてた。

決定打は…
一本の電話から始まった出来事。

施設を脱走して、旅立った
ヒロキ君と一緒に居たK君から。

K君はヒロキ君と
一緒に組んだ同じヒッチハイク組。

ヒロキ君の行く末を聞きたいのと
懐かしさと…
もしかしたらK君への好意も
多少はあったかもしれない。

施設を出て、自宅に戻ったという
K君に会いに、私は、
片道一時間以上の電車の距離を
会いにいった。

駅に迎えに来たK君は相変わらず
悪そうな外見に、悪そうな友達を
引き連れていたが、私に対しては
以前のように、優しかった。

K君は脱走時、まさかの中1
(この時、中2)だったけど
かなりの男前で、ませていて
彼女持ちで、やることやってて…

そんなだから、彼の家で二人きりに
なった時、押し倒されても
そうは、驚かなかった。

ただ、彼がヒロキ君を裏切る行為を
アッサリしようとしたのが切なかった。

彼らの結末(ヒロキ君の場合②参照)は
この時、K君から聞いたんだ。

私は、拒んだ。
少し強引だったK君も
本気で無理やりしようとはしなかった。

また、遠い道のりを帰った。

K君との接触はこれが最後だ。

ヒロキ君の、その後も分からない。

家に帰った私は、
まだ少しドキドキしていた。

かなりのイケメンのK君に
押し倒されて拒んだものの…
後から後から、気になり始めた。

それを彼氏のあっちゃんに、
いつものノリで
K君の事が気になる~
なんて調子にのってボヤいたから…

とうとう我慢の限界で
あっちゃんはキレて…

初めて私に手をあげたんだ。

殴ったり、蹴ったり…

たまってた不満を吐き出すように…

浮気も裏切りも我慢できるんだけど

暴力だけは、受け付けない私は…

ただ、夢中で叫んでた。

「別れる!もう別れる!」

とにかく、泣きながら
何度もそう、繰り返したんだ。