駅で手首を切った後、
やっと博君が捕まったんだ。

家に帰って来たの夜の10時前。

電話で話して…
『手首、切ったん?』
「うん。」
『家に帰りな。』
「いや、会うまで帰らん。」
『帰ったら、家に電話する。
帰らんなら、もう電話せんよ?』

そう言われたら、帰るしかなかった。

トイレットペーパーをグルグル巻いて

血を隠して…
それでも人にジロジロ見られて…。

電車に乗って、家まで帰ったんだ。

家について、しばらくたつと、
博君からの電話。

落ち着いて、出た。

「今日、ずっと待ってたんだよ?」

『ごめん、俺たち別れよう』

衝撃!!

「いや、なんで?」
『もう、無理やけん。』

二日前には、会いたいから早く
帰ってこいって、言ってた人。

ラブラブ電話で良いことばかり
言ってた人。

この時は、ただ、自分が重い奴って
思われたんだって解釈してた。

でも、元カノだって、同じこと
したじゃない?

あなた、そんとき飛んでったじゃない?

「別れたくない!」いくら言っても
彼は静かに別れを繰り返すだけだった。

音をたてて、くずれさる
想い出と優しい言葉たち。
博くんとは、
ほんの1ヶ月ももたなかった。

けど、大好きだった。

後から知ったんだ。

実は元カノ、
手首なんて切ってなかったんだ。
博くんの大嘘。

対抗して切った私、
一体、何だったんだろう…。

バカみたい、バカみたい、バカみたい。

世の中、何でも鵜呑みにしちゃ
いけないんだ。

でも、あなたは、
好きな人を疑えますか?