駅に着くと、 二人でホームに上がっていき、 電車を待った。 その時も綾は 一度も顔を上げることなく、 ずっと俯いていた。 俺も声をかけることもなく、 ずっと前を向いていた。 俺の目には 何かが映っているんだろうけど、 その景色は 俺の脳には 全くやってこなかった。 俺の脳に届いた光景は、 俯いた綾の姿だけだった。 向こうの方から 電車がやってきて、 ベンチに座っていた 数人の人たちが 立ち上がった。 俺の家の方に向かう 電車だった。