消える前に……



「本当は青西卒業したかったんだけどな……。
って俺らしくないっすよね?
こんなセリフ。」


俺は無理して

笑顔を作ってみたけど、

井上先生はいつもの笑顔を

見せてはくれなかった。


「…鈴木……。
私も鈴木の卒業を見届けたかった……。」


井上先生は涙ながらに

小さくつぶやいた。


井上先生の言葉なら

信じられる。


嘘なんか言う性格じゃない。


俺の卒業していくところを

本当に見たかったんだというのが

伝わってくる。


高校生活最後の先生が

井上先生で本当に良かったと

心から思った。


「教師の立場の私が涙を流すなんて、
みっともないな。
こんな担任でごめんな……。」


「そんなことないです。
本当に井上先生で良かったって
思ってるんですから、俺。」