消える前に……



綾の全部の表情を

瞼の裏に焼きつけておこうと思った。


楽しい時間は

どんどん流れて行って、

あんなに待ち続けていたのが

嘘だったかのように

過ぎていく。


すっかり日は沈んで、

暗くなった遊園地に

ライトアップされたアトラクションが

きれいに彩られていた。


「観覧車乗ろっか!」


俺は左手で

しっかりと綾の手を握り、

右手で観覧車を

指さして言った。


綾の返事を聞く前に

俺は綾の手を引いて

歩きだした。


「うん。」


少し遅れて綾が返事をした。