消える前に……



たくさんの知らない顔。


俺の表情は変わらない。


そのたくさんの

知らない顔の中から見つけた、

たった一つの知ってる顔。


俺の表情は明るくなった。



さぁ、楽しもう。


全部、全部忘れて。


綾だけを覚えて、

綾だけを思って。


電車から降りたばかりの綾に

俺は左手を伸ばした。


綾は俺の左手に、

自分の右手を重ねて

俺に微笑んだ。


俺はニッと歯を見せて

満面の笑みを見せた。


「さぁ行くか!!」


俺たちは電車を乗り換え、

遊園地に向かった。