消える前に……



そう思ったら、

辛いことや、

悲しいこと。


そんなのは全部

ちっぽけな物のような

気がしてきた。


ちっぽけな物。


たぶん俺も、

俺の命もその一つ。


だから、

そんなちっぽけな物なんか

気にせずに

楽しめばいいんだ。


長くはない、

自分の時間を。



プシュー。


電車のドアが開く音がして、

たくさんの人が

ホームに降りてきた。


俺は雲からその人ごみに

視線を下ろし、

綾を探した。