「そうだね。でも線香花火も楽しいし」 僕は静けさをなくすように笑顔でそう言った。 「うん」 君も笑顔で僕に返してきた。 二人で線香花火を持ち、ろうそくに近づける。 ろうそくに寄った二人の距離は本当に小さく、いつでもなくせそうなものだった。 こんないつでもなくせそうな小さな距離も僕には留めることができないのか。 そう思うとすごくに悲しくなってきた。 明日のこの時間には僕は一人で、君との距離はもう二度と埋められないほどになっているんだろうな。 僕はそう考えずにはいられなかった。