ケント君の住む駅と、あたしの住む駅のちょうど真ん中。


もう会えなくなるかもしれない。

そう思った瞬間、止まった駅で電車から降りていた。


今ならまだ、間に合う。


やり直しが出来る。


あたしはまた、反対側のホームに急いだ。


電車に乗り、ケント君の住む駅でおりると、改札を抜けて走り出した。


途切れる息。

必死でたどり着いた105の部屋の前。



覚悟を決めた。

もう逃げない。ひるまない。

怖なくない。


いつも開けっ放しの玄関。

そのドアノブを握り、あたしは開いた。



全部受け入れる、覚悟を…決めて。