天国への切符




「…ごめ…なさい…」


謝ることしか出来なかった。


じゃあ今からもう一回やり直して、ってそんな風に迫れるほど勇気は出なくて。


「……今日は…帰るね」


今日は自分から、ケント君の部屋を出た。


引き止められることもなかった。

追いかけてくることもなかった。


ただひとりで来た時の道を、ひとりで戻るだけだった。


電車に乗った途端、締め付けられる胸。


もしかしたらもう、ケント君からの連絡はないかもしれない。


そんな不安が頭によぎった。

押し寄せる不安の波。

飲み込まれた、一瞬で。