お小遣い?
「足りるわけないじゃん。映画行くんだよ?電車代だってかかるし映画の後も遊ぶし」
「お小遣いでやりくりしなさいっていつも言ってるでしょ?」
「…あんな少ない小遣いでどうやりくりしろって言うんだよ?」
だいたい、あたしの周りの友達はあたしの倍は貰ってる。
ただでさえ少ない小遣いなのに、こういう時くらい仕方ないな、子供のためだしなって思わないわけ?
「…もういい」
あたしはそう言って背を向けて歩き出した。
「待て真優」
するとお父さんがあたしを呼び止めた。
そして…
「五千円だったな」
そう言うと、カウンターテーブルの上に置いてあった自分の財布から五千円札を一枚取り出すと、あたしにそれを渡してくれた。



