なんか…緊張してきたな。


自転車を漕ぎながら、暗くなった空を見上げる。


向かい風の、強く冷たい風がビューッと吹いて、ボーッとしていた頭はぱちっと目覚めていった。



吐く息が白い。

温かかった指先は、すぐに冷たくなっていく。


だけど寒さよりも、早くあの場所に向かいたくてあたしは自転車を漕ぐスピードをあげた。



だんだん近付いていく距離にドキドキが止まらない。


あいつ…もう来てるのかな?


信号待ちで止まった交差点。

ケータイで時間を確認した。


指定された時間までは、あと10分。