あたしもドキドキで言葉が出てきそうだったけど。



「ねぇノア!早く言ってよ!」



サエが先に言ってくれたから、黙ってノアの言葉を待っていた。



「それがさ」



一瞬空いた間に、息を飲んだ。


どうなったんだろうと、何故か不安になった。



だけど…



「フッたらしいよ、吉岡。しかもー、好きなやつがいるからって。そう言って断ったんだって」



その言葉を聞いた途端、ホッとした。

でも同時に違う不安の波が押し寄せてきた。



あいつ、好きな人…いるんだ?



「なーんだ!良かった!」

「ドキドキしちゃったじゃん!」

「ノア!ビックリさせないでよー!」



サエ達はアハハッと笑い声をあげた。


あたしも慌てて一緒になって笑った。




「良かったね、真優」


え?



ノアの声に首を傾げた。



「え、じゃないし!好きな人って絶対真優のことじゃん?」


「えっ……えっ⁉︎あたし?」



思わず声が大きくなった。



「多分、ってか絶対そうでしょ」



サエが横からあたしの肩をつつく。



吉岡の好きな相手が…あたし?



「そっ、そんなの分かんないじゃん!あいつがあたっ、あたしのこと好きなんて…そんな……」


「何で?そうだと困るの?」



目の前に座っていた美波がニコッと笑ってあたしをジッと見ている。



困るとか…そんなんじゃない。

もしそうなら…困るわけ……ない。



でも、確かじゃないものに勝手に期待なんてできないよ。



「困らないけど……ほ、ほら!違うかもじゃん⁉︎あいつクラスメイトみんなと仲いいしさ……だから…」



あたしがそう答えると、みんなはクスッと笑って。



「はいはい!」

「ま、今日で分かるんじゃない?」

「だね!どうなったか報告してね!」

「やっばい、なんかドキドキしてきた」


あたしを見つめながらまたキャーキャー騒ぎ始めた。