「いい奴だな、あの子」
隣に立つお父さんが、あたしを見下ろしながら優しい顔で笑った。
「まぁ…確かに結構いい奴だけど。っていうか…な、何であいつがうちに来てたの?」
「ん?それは…男の約束だから言えないな」
男の約束?
「何それ意味分かんないんだけど」
あたしがクスッと笑うとお父さんもつられたようにまた笑って。
「腹減ってるだろ、今日は鍋にしたから 早く手洗ってこい」
そう言うと先に家の中へと入っていった。
何がなんだかよく分からないままだけど、言われた通りあたしもすぐに家に入って。
手を洗って着替えると、お父さんの待つ一階へと向かった。



