「…っ…」
「俺より泣きすぎ」
「…っ…ごめ…」
隣で泣きじゃくる平野を見て、俺は泣きながら笑った。
「でも…またお前に会えて良かったよ。平野に会えてなかったら…俺、変われてなかったかもしれない」
この町に帰ってきて、同じ高校の同じクラスになれて。
踏み入れた教室が、あのクラスで。
そしてそこに、平野がいてよかった。
始めは、弱さばかりがあの教室には溢れ返っていたけど。
イジメというものを目の当たりにできたおかげで、俺は秀二には出来なかったことを、ほんの少しくらいはできたかもしれないから。
人はみんな、弱いのだということも知って。
だけどまた、人は強く変われるのだということも知ることができた。
平野を含め、あのクラスの奴らが変わっていった姿をこの目で心で感じることができたから。
この町に帰ってきて…良かった。