季節ばかりが巡っていってた。


気付いていたはずだったのに。


秀二の様子がおかしくなっていたことに、ちゃんと気付いていたはずだったのに。


そんな秀二のSOSのサインを、俺は見逃してた。


どんどん追い詰められていたあいつの心に、気付いてあげられなかった。



三歳の年の差が、余計にそうさせていたのかもしれない。


俺が中学に上がってからは、小学校での様子なんて分からなかったし。


俺が中学を卒業して高校に入学すると、秀二もまた、小学校から中学にあがって。


分からなかった。普段の秀二のことが。

どんな学校生活をおくっているのかも、どんな友達がいたのかも。

俺は何も知らなかった。



毎日毎日ボール追いかけて。

走って、バット振って。


自分のことで精一杯で。


同じ家に住んでいたのに…変わっていくあいつのことを何も見てやれてなかった。

何ひとつ、気付いてあげられなかった。


たったひとりの弟なのに。

あいつにとっても、たったひとりの兄貴だったのに。


俺は…思いつめて行く秀二の心に、気付いてあげることが出来なかった。