天国への切符




俺が泣いている間ずっと。


平野は黙ってそばにいてくれた。



ただそばに、隣にいてくれて。


時折俺の背中をそっとさすってくれた。



マジ…かっこ悪過ぎ。

男のくせに泣き過ぎだろ、俺。


しばらくすると、ようやく涙が止まったけど。

情けない顔を見られたくなくて、平野の座る方とは反対側を向いてゆっくりと顔をあげた。



強く吹きつけてきた、乾いた冷たい風。


あの夏の終わりから、あっという間に秋をとび超えていて。

季節はもう、すっかり冬。


心は前に進めていないのに、時間だけが勝手に過ぎてしまっていた。


止まっていたのは俺の心ん中だけだった。