「ううん……謝るのは私の方だよ…。ごめんねサエ…本当にごめんね」
美波がそう言うと、サエはううんと首を振った。
「美波は何も悪くないよ…なのに、ひどいこといっぱい言ったり…髪…あんなことして本当にごめんね」
「ううん、ほら。人生初のパッツン前髪、結構可愛いでしょ?」
「…うん、可愛い」
「でしょー!今はお気に入りなんだ、この髪型が」
美波は前髪を触りながらニコッと笑う。
もつれていた糸は、スルスルと解けていった。
もう元には戻れないと思っていたのに。
不思議だね、ふたりがまたこんなふうに戻ってくれるなんて。
「っていうかマジ寒くない?」
「指先とかヤバイよね」
みんなでハアーッと息を吐きながら冷えた指先を温めた。
「あははっ、あんまり意味ないー」
「確かに一瞬だけだよね、温かいの」
輪になって、笑った。



