「平野!」 聞こえてきた声に、浮かんできていた涙をサッと拭った。 「おはよう!」 言いながら振り返ると、そこには自転車に乗った吉岡がいて。 「今日から…来れるんだ?大丈夫か?」 心配そうな顔であたしに聞いた。 「うん、もう大丈夫」 心配かけたくないから。 だから精一杯、笑顔で言った。 「そっか…良かった」 そしたら吉岡も優しい顔で笑ってくれて。 ふたりで並んで、学校への道を進んでいった。