「どうした?真優」
「…ごめんなさい」
「えっ?」
「ごめんなさい…」
ただ、謝ることしかできなかった。
「何でお前が謝るんだ…」
だけどそう言われた瞬間、抑えきれない思いが溢れだした。
「だって…お母さん…あたしのせいで…あたしのせいで死んじゃったんだよ?」
「…どういうことだ」
あたしはまだ、お父さんに話せていなかった。
あの日、あの時…あたしのためにコートを持ってきたばっかりに車にはねられてしまったこと。
あたしがちゃんとお母さんが出て来るのを待っていたら、あんなことにはならなかったこと。
ちゃんと話さなきゃいけないと思った。
だけど…
「真優のせいじゃない」
あたしが全てを話すと、お父さんはあたしにそう言った。
「お前のせいなんかじゃないよ。お母さんはお前にコートを渡したかっただけだ。それだけだ……誰のせいでもない。だから、お前が謝ったりするな」
そう言って、ゆっくりとあたしの目の前にきた。