「ただいま」 静かな部屋に、ガチャとドアが開く音と、お父さんの声が響いた。 「…おかえり」 やっと涙も止まり、あたしはひとりベッドに座っていた。 「大丈夫か?」 とても心配そうな声でお父さんはあたしにそう聞いた。 あたしは黙ったまま、うんと頷いた。 「…そうか」 お父さんはそう言うと、ゆっくりと部屋のドアを閉めようとする。 「…お父さん」 だけどあたしは、お父さんを呼び止めた。