バンッとテーブルを叩き、立ち上がった。

そばに置いていたカバンを手にすると、あたしはそのまま歩き出しリビングのドアノブに手をかけた。


「まだ全然食べてないじゃない」


聞こえているけど知ったこっちゃない。

こっちはムカついてるんだから。


お母さんの声を無視したあたしはそのままドアを開けて玄関に向かった。


だけど靴を履き、立ち上がろうとした時だった。



「真優!お弁当!忘れてるわよ!」


お母さんの足音がバタバタと廊下に響いた。


「…いらない」


でもすぐにそう答え、玄関を出ようとした。


「何言ってるの、お昼食べなきゃ昼から勉強に身が入らないわよ」


なのにお母さんはそんなあたしの腕を掴み、お弁当袋を差し出す。



「…食堂で食べるから」

「え?」

「っていうかみんな食堂で食べてるし。今時弁当なんて流行らないから。お金ちょうだい、お昼代」


あたしはそう言って掴まれた腕とは反対側の手をお母さんに差し出して見せた。