「美波、帰ろっか」
「うん」
放課後、あたしと美波はふたりで教室を出た。
今日一日、あれからサエ達と話すことはなくて。
聖子やノアとも目も合わなかった。
お昼休みは美波と一緒にお弁当を食べた。
美波は、なんだか嬉しそうだった。
あたしも嬉しかった。
ひとりじゃないってだけで、やっぱり人は心強いんだ。
「そういえば今日、吉岡来てなかったね?」
「あー、そうだったね」
「風邪とかかな?」
「んー、どうだろ?分かんない」
「心配だよね、なんとなく…」
帰り道、あいつの話題になった。
その時、ふと心配そうな顔をした美波に、あたしはなんとなく気になって聞いてみた。
「その心配はあいつのこと気になってるから?」
「えっ?」
「いや、だから…美波は吉岡のこと気になってるのかなーって思って」
「あははっ、そうだなぁ」
えっ?そうなの?
一瞬ドキッとして。
「気にはなるけど恋愛対象としてじゃないよ、色々助けてもらったし…それに…真優のこともあるし」
だけどそう言われて。
意味が分からなかったあたしは、ん?と首を傾げた。
「真優、吉岡が転校してきてから変わったじゃん?」
「えっ?あたしが?」
「うん。変わったよ、良い意味でね」
「そう…なのかな?」
「うん。だから私にとっても救世主だったけど、真優にとっても吉岡はそういう感じなんじゃないかなって」
あたしにとっても、あいつが救世主?



