「おかえり、真優」
モヤモヤしたまま家に帰ると、お母さんがリビングから嬉しそうな顔で出てきた。
「ただいま」
小さな声で返事をすると、やっぱりずっとニコニコしていて。
いつもとは違った変な雰囲気に違和感を感じた。
「何?気持ち悪いんだけど」
「ん?最近真優、帰ってくるの早いなぁと思って」
…何それ?
「ずっと帰りが遅かったのに、ここ何日か、まっすぐ帰って来てくれるから…嬉しくなっちゃって」
それだけでそんなに嬉しい?
「嬉しさのバロメーターおかしいんじゃない?」
くだらなく思えた言葉にそう答えると、あたしはそのまま二階へと上がろうとした。
だけど。
「真優…学校で何かあった?」
お母さんがそんなこと聞いてくるから、何故か立ち止まっちゃって。
「なんもないし」
すぐにそう言葉を返してみたけど。
「でも…泣いたあとみたいな顔してるから」
そんな風に言われて、一瞬、何も答えられなかった。
泣いたって、昼休みの話だよ?
何時間前の話なんだよ…
「は?泣いてないし。意味分かんない」
あたしは適当に返事をしながら階段を登ると、すぐに自分の部屋に入った。



