「日暮れるのも早くなってきたなー」


「そうだね」



まだ4時過ぎだというのに空は茜色に染まっていて。


自転車をとめてベンチに座ったあたし達は同じように空を見上げた。



季節が変わるのは早い。


太陽が沈んでいくのも随分と早くなった気がする。



「つーか寒くね?」


「うん…まぁ」



冷たい風が、あたし達の髪をふわっと揺らす。






「でも、相変わらずここは…見晴らしだけはいいな」



吉岡はそう言うと遠くをジッと見つめて。



「俺さ、この公園結構好きだったんだ」



言いながら、横顔が笑ったような気がした。


あたしも結構好きかもな…。



ぐるっと周りを見渡しながら坂道の下に視線を落とす。



ずっと変わらないわけじゃない。


昔に比べると、高い建物も随分と増えた。


でも、ここから見える夕日は昔とたいして変わらない気がする。



よくおばあちゃんやお母さんと一緒に来たな…なんて、幼い頃のことを何故か思い出した。


あの頃のおばあちゃんは一緒になって走ったり遊んでくれたり、お母さんはいつもカメラ片手にニコニコ笑っていた気がする。


それが今じゃ、おばあちゃんはボケちゃった老人で。

お母さんはとにかく口うるさいだけの人になっちゃって。