「サエは?」
「え?」
「あははっ、聞いてなかった?」
「あ、ごめん。ボーッとしてた、何?」
ノアの言葉でハッとしたようなサエ。
「名前の由来。サエはどんな感じでつけられたの?」
ノアがニコッと笑ってサエに聞いた。
「…それ聞いて何になるの」
「えっ…」
一瞬、空気が変わった気がした。
「…なんてね。ごめんごめん」
「ううん、ごめん、私も」
「謝んないでよー、てか、私の名前はお父さんがつけたらしいからよく分かんないや」
サエは明るく笑ってそう答えたけど、やっぱり空気が悪い。
いけないことを聞いた気がしてシーンとなった。
だから、そんな空気を壊すようにあたしは慌てて口を開いた。
「あっ!あたしの名前の由来も分かんないんだー!そういや誰がつけたのかも知らないし」
「真優もそうなんだ?ま、名前なんてどうでもいいよね、今さら変えられるわけでもないし」
そしたらサエがそう言ったから。
「そうだね…」
「うん…」
聖子とノアは気まずそうに苦笑いした。



