「…っていうか…美波も来てないよね」
「…うん。でもさ、先生何にも言ってなかったから美波は休みなのかもね」
聖子とノアの言葉でゆっくりと視線が美波の席へと動いた。
そういや美波も…来てないのか。
「っていうかね…昨日の美波のことなんだけど」
話すなら、もう今しかない。
自分の気持ちを話してふたりの気持ちも確かめたいと思った。
そして確かめて、出来ることならサエともちゃんと話さなきゃいけないって思った。
「聖子、ノア……あたしね…」
「おはよー!」
……えっ?
聞こえてきた声に、あたし達三人の視線が動いた。
「おはよー、サエ」
「珍しく遅かったじゃん」
そして聖子とノアの声で、言いかけていたあたしの言葉が止まった。
「寝坊しちゃったよー」
サエはそう言いながらあたし達の輪の中にいつものように入ってくる。
…あれ?
「サエ、ここどうしたの?」
でも、ふとサエの頬が目に止まり、あたしは自分の頬を指差しながらそう聞いた。
「あー、ぶつけちゃってさ、昨日」
「そうなんだ?大丈夫?」
「…うん、全然大丈夫!どうってことないし」
「そっか…」
そう答えてはみたけど。
赤く腫れ上がっている頬は、なんだかとても痛々しく見えた。
赤というか赤紫というか。
そんなに腫れ上がるなんて、一体どこでぶつけたんだろう。
ぶっちゃけ結構気になっていた。
でもサエはいつも通りだったから。
あんまり気にしないでおこうとそれ以上は何も聞かなかった。



