「待ちなさいよ!」
「なんだよ?」
振り返った吉岡と目が合った。
「本当はお前、そんな奴じゃないだろ?」
そしたら吉岡はそう言って、なぜか悲しそうな目をした。
「何分かったようなこと言ってんのよ」
「だってお前、五年生の頃…隣のクラスにイジメられてる奴がいるって分かった時、隣の教室に乗り込んでいったじゃん」
吉岡の言葉で、ふと記憶が蘇っていく。
「…何のことよ?」
だけどあたしはとぼけたようにそう答えた。
「イジメなんてするな!って。自分のクラスの奴でもねーのに、そう言って乗り込んでいってただろ?」
「…知らない、覚えてない!」



