天国への切符





どうして何もなかったかのように終わってしまったの?


モヤモヤしたままの帰り道。



「美波、先生にチクんなかったみたいだね」



ラッキー、と言わんばかりの顔でサエはそう言った。


悪いことをしたとも思っていないようだった。



だけど聖子とノアは、いつもと違い元気がなかった。



そしたらサエが言ったんだ。



「もしかして真優たち、罪悪感とか感じてるわけじゃないよね」


冷めたような声であたし達にそう聞いた。


でも、誰も言葉を返さなかった。



もしかしたら聖子とノアも同じ気持ちなのかもしれない。



あたしが今感じてるような、複雑な気持ちを聖子たちも同じように感じているのかもしれない。



「なわけないよね?そんなの感じてたら最初から私にハサミなんか渡してこなかっただろうし。それに、私が動く前に止めてきただろうしね」



サエの言葉に、ごくっと唾を飲み込んだ。


同罪なのだと思った。


切ったのはサエだけど、近くで見ていたあたし達も同じなのだと。


止めなかったんだから、今さら罪悪感を感じるなんて卑怯だと。