親父は『見てたのか…』と力なく呟くと、濡れた目で俺を見据えた。 『俺はまだ母さんを愛してる。あんなことされても、簡単には嫌いになんてなれないんだよ…お前も大人になればわかるさ』 大人になればわかる…? そんなのわかりたくねぇよ。 そんな大人になるぐらいなら、結婚なんてしなくていい。 恋とか愛とか、したくない。 茜の顔が頭に浮かぶ。 もういらない、何もかも。 俺は一人でいい。 茜の顔が、徐々に霞んでいく。 やがて、俺の頭の中から消えた…