あなたがいたから、幸せでした。

カチャン


お母さんが帰ってきた音がした。


「雅、お母さん、帰ってきたよ。」


私がそう言えば、

雅はクッと泣くのをこらえた。


「あたし、下に行くね・・・」


何かを決意したように、雅が呟いて部屋を出て行った。

私はただ、


行ってらっしゃい


と、さびしい気持ちをこらえて、言うしかなかった。

せっかく雅と話せたのにな。

そんな気持ちでいっぱいになる。

けど、私には引き止める権利も、勇気もないから。

だから黙って、行ってらっしゃい、と言う。