拓馬が消えた時、分かったの。

悲しむ人は大勢いるって事。

誰か1人は絶対に悲しむ事。


だから。


絶対に、もう誰1人として死なせない。


誰も死なせたくない。


私のそんな強い思いに溢れ、

医者を目指したあの頃の自分。


今は夢が叶って、

人の命を救う立場になった。


今でももちろん、拓馬の事を思い出す。


辛くて、苦しかった時。


拓馬は私についていてくれた。


私がもう少し早く生まれていれば。


拓馬の命を救っていたのに。



拓馬のような病気の人を、

今まで何人と診てきたことか。