父さんは、それを抑えるのに苦労したと思う。
性欲は、そうそう収まらないはずだから。
けれど、父さんは耐え抜いた。
それを言うなら、母さんだって。
俺1人の子供のために、
これ以上子供が欲しくない、と思ってしまったんだ。
もしかしたら、
俺の両親を苦しめていたのは、
俺だったのかもしれない。
母さんは泣いた。
父さんも泣いた。
2人して、泣いて泣いて泣いた。
泣きじゃくって、これまでか、ってくらい泣いた。
涙が枯れるほど泣いていた。
それは、6年前の事だった。
その時まで、普通に息をして、
母さん達が大好きで。
〝生きられる〟事が当たり前だった。


