* * * 巳波がいる。 巳波が、目の前にいる。 スゴく近くにいる。 はずなのに。 「巳波っ!」 心は遠い。 「俺ら、もう、離れよう」 「ヤダよ。 離れたくない」 歩き出した巳波の腕に手を伸ばす。 あれ………? でも、伸ばした手は、すぅっと巳波の腕を透かせる。 届かないよ。 巳波、待って。 おいてかないで。 手を伸ばしても、届かないよ。 ガラクタみたいな場所から、離れていく巳波を見るしかできない。 どうして? 好きな気持ちだけじゃ、幸せにはなれないの? * * * .