「久しぶり。ふうなちゃん。
俺、さらにかっこよくなったでしょ?」
冗談っぽく笑いながら言う京ちゃんの
お兄ちゃん。
「アホ。チャラチャラしてキモいわ。」
そんなお兄ちゃんに突っ込む京ちゃん。
「ゴホン…。京?後で…ね?」
「うわー…。怖いー!」
突っ込んだ京ちゃんに少し睨む
お兄ちゃん。仲いいな〜。
「で、連嬢って…あの?」
「うん。どこにおる?」
京ちゃんが教室を見渡しながら
お兄ちゃんに聞く。
「…さぁ?奥の空き部屋じゃね?」
「行ってみる。ありがと。」
私もお礼を言って京ちゃんと一緒に
空き部屋に向かった。
バンッ。
京ちゃんが勢いよく空き部屋のドアを
開けると連嬢さんが窓を開け空を見ていた。
少し悲しげな表情で。
「…あら、よく分かったわね。
ここにいるって。」
朝の口調と全く違う落ち着いたというか
今にでも泣き出しそうな声。
「あんた、なんでここにおるん?
病院行ってリハビリしいや。」
「…私…もうリハビリしても歩けないって。さっき電話で…」
泣きながら言う連嬢さん。
え…嘘でしょ…もう手遅れ?
こういう時ってなんて言えばいいの?
「あの…大丈夫…ですか?」
って大丈夫じゃないよね!
何言ってるんだろう。
なんて…言えばいいのか分からない。
「いつまで続けんの?」
「え?」
京ちゃんの言葉に疑問が高まる。
何を続ける?
「そんな下手な演技で騙せると思った?」
え…演技?
これ…演技なの?
「あーあ。バレちゃった。」



