エンビィ 【完】





「アイリーン…?……知り合い…?」


「いえ。彼は世界で活躍している、有名ピアニストです」


「は?自分のこと有名天才ピアニストって言ってたの…?」



思ったままに出た本音に、アイリーンは目敏く反応した。




「ユーメイ、ピアニストハッ、ホントウのコト、ダシッ」



眩いブロンドヘアを梳くのは、

様になっている。


片言の軽い日本語とは真逆に、

会場を見下ろす眼差しは、思慮深い。




「デモ。テンサイ、ピアニストハ、ワタクシのコト、ジャナイ」



淡いブルーの瞳がピアノを映し、

百瀬に「アイリーン」と呼ばれこちらを一瞥したが。


その刹那巻き起こる、盛大なまでの拍手に、

アイリーンは口笛を吹きながら下に向かって投げキッスを始めた。



つられて下を見て――――違和感を、持った。