「マジでここ?」
鬱蒼とした茂みのおくにある
古い民家の前で止まると
蒼介さんが微妙な顔をした。
民家の入り口には
「抹茶茶房」と手筆で書かれた
小さな木の看板が
カタコトと風に揺れている。
「和風デザート苦手?」
「いや、そうじゃなくて。
なんか、この家、ボッロボロだけど。
マジで、ここに入んの?」
「ここね、すごく美味しいのっ!
あまりの美味しさに、
この前の春休みにお母さんと一緒に
京都の本店まで行ってきたの。
そしたら、本店はさらに小さなお店で、
探すのが、すごくすごく大変でねっ」
京都本店のデザート、
どれも、すごく美味しかったなぁなんて
ぼんやりと思い出していると…
…………あれ?
隣で、蒼介さんが絶句…してる?
失敗しちゃった…かな?



