「危ない…か。」
蒼介さんが呆れ顔で呟いた。
すると、バイトを終えて
エプロンをはずしたお兄ちゃんが
部屋に入ってきて
どかっとソファに座った。
「ああ疲れた!」
両脚を投げ出して座るお兄ちゃんに
蒼介さんが置かれていたクッションを
思い切り投げつける。
「お疲れ、一樹。
家出した翌日にバイトなんて
勤労少年だねぇ。」
蒼介さんが意地悪く
お兄ちゃんをからかう。
「うるせぇなぁ。つうか、2人とも、
いきなり呼び出して、悪かったな。
昨日のこと、ちゃんと謝りたくてさ。
ってか、なんでモモ制服着てんの?
今日、学校休みだろ?」
「昨日、バタバタと帰っちゃって
大事なプリントとか宿題、
全部置いて帰っちゃったから。
今、取りに行ってきたの。」
「…悪りい。俺の、せいだよな。」
お兄ちゃんがバツの悪い顔をして
投げつけられたクッションを
抱えながら下をむく。
「ホントだよ、まったく。
じゃ、ここは
お前のおごりってことでよろしく。
やったな、モモ。
うまいもん、食おうぜっ!」
蒼介さんがいつもの軽い口調で
お兄ちゃんをからかい
お兄ちゃんが優しい顔をして笑う。
お兄ちゃんが
いつものお兄ちゃんに戻った。
軽口をたたきあっている
蒼介さんとお兄ちゃんを見ながら
ほっと安心する。



