蒼介さんは

一言も、口をきかない。


蒼介さんの顔に浮かんでいるのは、

鋭さでも
優しさでも
怒りでもない、

深い深い悲しみの色だった。


その悲しみの意味もわからず、

どうしたらいいかもわからず、

どうしてそうすることが
自然だと思ったのか、

私は自分から


蒼介さんの手を握った。