「本当は俺が駅で待ち合わせして
連れてく予定だったんだけどさ。

ほら、昨日はお前らがバイト先に
遊びに来るっつってたから、
モモに頼んだんだよ。

俺、髪もこんなんだしな。
めちゃくちゃ印象悪いじゃん?

親にバイトのことは言ってないしさ。

ま、学校を外から見て、
乗り換え確認するくらいなら
モモでもできるからさ。

で、昨日朝メールしたんだよ。
モモの送迎いらねぇって。

従兄弟の家はみんなデカくてさ。

昨日は夕飯そこで食ったらしいけど、
モモのやつ、
コビト扱いされたって言ってたぞ。

笑えるよな?

うちの親戚みんな背がでかいのに
なんでモモだけちっこいんだろうな。
名前のせいか?」


笑いながら話し続ける一樹の声を
ただボンヤリと聞いていた。


モモは、
なにひとつ否定しなかった。


あんなにひどいこと言ったのに
モモはただ黙って…

傷ついていた。


勝手に勘違いして、
勝手にキレて、

そして一方的に

モモを傷つけた。


俺はなにをしてんだ……



もう…駄目だ。

これ以上、一緒にいると

どうしようもなく

モモを傷つける。