「お兄ちゃん、蒼介さんはあんな風に
誰にでも優しいの?」


お兄ちゃんの目を見ないようにしながら

なるべく自然に
聞いたつもりだったけれど

思わず声がうわずる。



そんな私の様子には全く気づかないで

お兄ちゃんはベッドの上にゴロンと
横になりながら言う。


「あいつ、どちらかというと
冷たくないか?

お前も最初すごく怖がってたし。

誰とつきあってもさ、
すぐ別れちゃうんだよな。

あんまり、相手に興味ないっつうか。

ウザいとかキモいとか
相手が女でも平気で言うし。

女の扱いは上手いから適当に遊んだり
つきあったりはしてるみたいだけど。

うーん、なんていうか、
あいつ、やっぱ、いいやつなんだけどさ

どっか人と距離をとってるっていうか、
踏み込めない部分があんだよな。

あいつ、
あんまり自分のこと話さねぇし」


仰向けに寝転がり天井を見ながら
お兄ちゃんが続ける。


「ああ、でも、あいつ、
モモには優しいだろ?」


お兄ちゃんの一言にドキリとする。



「モモはさ、特別なんだよ。


間違えなく、


蒼介にとって、


モモは特別だよな。」