獣系男子×子羊ちゃん

少し寄り道をしたせいで
いつもより混んだ電車で
帰ることになった。

ギュウギュウ詰めの電車に
なんとか乗り込んだものの

人の流れに押されて
車内で
蒼介さんと離れてしまった。


混んだ電車だけは、
いつになっても慣れることは
ないだろうなぁ…と息苦しく思う。


背が低いせいで
まわりの人につぶされてしまって
蒼介さんがどこにいるのかも
わからない。


すると、


「モモ!ここ!」


と蒼介さんの声がした。


まわりより頭ひとつ大きい蒼介さんが
車内の人混みをかき分けて
手を伸ばしてくる。


「モモ、手、つかまって!」


蒼介さんとの間には
何人もの人がいるので
どうしていいかわからず
ためらっていると

混んだ車両のなか
さらに人混みをかき分けて
蒼介さんが近づいてきた。


周りの人に苦々しい顔を向けられて
露骨に迷惑がられながら

目の前にたどり着いた蒼介さんは
私を見て安心したように笑った。



「ごめんな、モモ。
混んでて見失った。大丈夫だったか?」



そう言って
蒼介さんの両腕に抱え込まれた。



「ストーカーにあんなに
プレッシャーかけた後だったから
マジで焦った。

無事で良かった。」



そう言って
優しく微笑む蒼介さんに

強く抱きしめられたように感じたのは


電車が
ギュウギュウに混んでいるせいなのか

蒼介さんが
私を抱え込む両腕にギュッと
ちからを入れたせいなのか


わからなかった。


ドキドキし過ぎて、

苦しい…。