幸せの花が咲く町で






「智君、これ……」

「何?」

食事を済ませ、ラブホを出てから、私は封筒を智君に手渡した。



「少ないけど、お母さんの手術代のたしにして。」

「またそんな…この前、お見舞いをもらったばかりじゃないか。
だめだよ、こんなこと……」

「あげるんじゃないから。
貸すだけだから、そんな遠慮はしないで。」

「でも……」

「智君、これはお母さんのためなんだから。
プライドとかあるかもしれないけど、お母さんのためだって思って、素直に受け取って。」

「かおり……」

そう言うと智君は私を強く抱きしめた。



「かおり……本当にありがとう。
正直、すごく助かるよ。
母さんもね…早くかおりに会いたいって言ってるんだ。
こないだなんて、早く孫の顔が見たいなんて言ってね。
馬鹿だよね。こんな状態じゃ、まだ結婚なんて出来るはずないのに……
でも、そう言った時の母さん…すごく嬉しそうな顔してた……」



(……孫……?
智君と私の子供……?
智君、私のことをお母さんに話してくれてるの?)



不意に胸が熱くなった。
目の前にいる智君との距離が、また一段と近付いたような気がした。



智君と私と、そして可愛い子供……



私の頭の中に、明るく幸せな未来の光景が広がった。
ただの憧れじゃなく、すぐ手の届くところにそれはある。

そう思うと、嬉しさで胸が膨らんだ。