幸せの花が咲く町で

家に着いたのは、0時半頃だった。
いつもなら10時過ぎには寝てしまう母は、私のことを心配してまだ起きていた。
母は、私が女友達と会っていたと信じている。
仕事のことで愚痴を聞かされて遅くなったものだと信じて疑わない。



(私が急におしゃれをし始めたのに、おかしいと思わないのかしら?
会社の人だって、私に彼氏が出来たって気付いたのに……)


きっと、私は母から見ても魅力のない女なんだろう。
だから、私が男性と会ってるなんて考えもしないんだ。



もうしばらくして、智君のお母さんが退院されて、様々なことが落ち着いて、そして、智君がここに挨拶に来ることになったら……
母はどんなに驚くだろう?
そんなことを考えると、得体の知れない笑いが込み上げた。


智君が来ることが決まったら、家の中ももう少しなんとかしとこう。
いらないものは片付けて、家具や家電も少し買い替えて……
狭いことは伝えてあるけど、いくらなんでもこんなに汚いとは思ってないだろうから。


今までどうでの良いと思っていたことが、急に大切なことのように思えてきた。
智君のおかげで、私の暮らしも性格も…そして人生自体もが大きく変わろうとしていた。