幸せの花が咲く町で

まだどこか夢心地だった。
私はまだ何も身につけないままベッドに横になっていて、すぐ隣には智君がいる。
智君の肌の温もりが直に伝わってくる。



「かおり……本当にありがとう。
君のおかげですごく気持ちが落ち着いたよ。」

まるで独り言みたいにそう呟いた智君の言葉は、なにかおかしい気がした。



「……どういうこと?」

「え…ううん。
特に意味はないんだけど……」

智君は、少し慌てた様子で、そんな曖昧なことを言った。



「ねぇ、智君…なにか私に隠してるよね?
一体、何を隠してるの?」

「隠し事なんて…何もないよ。」

智君はそう言うと、くるりと私に背を向けた。



「話してくれないっていうのは私のことを信頼してないってことだよね?
……なら、もう良い。
もう智君とは会わないから……」

私らしくない言葉だった。
普段ならこんな強気なことなんて言えない。
こんなことが言えたのは、きっと、まだ興奮から覚めてない状態だったからだろう。



「そんな……
いやだよ!かおりに会えなくなるなんて。
かおりに会えなくなったら僕は……
でも、これは僕自身のも問題だし、かおりに心配かけたくないから……」

「どういうことなの?
話して!
どんな話でも、私、しっかり受け止めるから……」

何度もしつこく説得を続けた。
もしも、智君に悩みがあるのなら…ひとりで辛い想いをしてるのなら、少しでもその心の負担を軽くしてあげたいと思ったから……
智君もそんな私の気持ちをわかってくれたのか、ようやくその重い口を開いてくれた。