幸せの花が咲く町で





「いいね。
なんだかすごく落ち着くね!」


次の日、なっちゃんの家と僕の家からの荷物が届いた。
それらを置くべき所に配置してみると、がらんとしていた広いだけの空間が、とても居心地の良い雰囲気に変わった。
ただ、ソファの色や柄は多少派手だったけど……
でも、それもなっちゃんらしくて良いといえば良い。



「ソファ…こんな柄だったんだ……」

「イタリア製なんだよ。
かっこいいでしょ?」

なっちゃんの家では、物や服がてんこ盛りで、ソファはその存在しかわからなかった。



「こんな風にのびのび座れる日が来るとは……感激だね!」

「感激だね!」

小太郎がなっちゃんの真似をする。



「どれどれ、あんたの部屋はどうなったかな?」

なっちゃんは立ち上がり、僕の部屋をのぞきに行った。



「ずいぶんすっきりしたね。
それに明るくなった。
ね、このベッドカバー、もっと明るい色のに変えなよ。」

「……そうだね。」

「あと、棚を買うんだよね?」

「うん。」

なっちゃんはドアを閉めると、今度は自分の部屋の前で僕を手招きした。



「見て見て!まさにビフォーアフターだよ。」

なっちゃんの部屋は、今までとはまるで違って、すっきりと片付いていた。



「本当だね。
これがなっちゃんの部屋だとは思えないよ!」

「どういうこっちゃ!」

「あれ…?なっちゃん、ベッドは?」

「処分した。
やっぱり、日本人は布団が一番!」

元々、なっちゃんは布団派だったけど、あれは亮介さんがベッドの方が良いって言うので渋々買ったものらしい。
あのマンション自体、なっちゃんが住んでた所で、そこに亮介さんが転がり込んだって形なんだ。
一時期、引っ越すとかいう話も出てたみたいだけど、きっとそんな矢先にトラブルがあったんだろう。



「あ、そうだ!
……これ。」

なっちゃんが僕に手渡したのは、見慣れないスマホだった。



「なに?」

「何って、スマホだよ。
あんた、スマホはいらないって言ってたから、前のは解約したけど……
これからはいるかもしれないから、新しいの買って来た。
最新のだよ。」

「……そう、ありがとう……」


僕にも友達や知り合いはそれなりにいた。
でも、なっちゃんの家に行ってからはそういう人達のことを考えることもなくて……


自分のことだけで精一杯で、そのうち、連絡を取るのもなんだか億劫に思えて……



(最低だな……)



見てみると、僕の連絡先には、なっちゃんの携帯とこの家の電話番号だけが登録されていた。