「ま、まさか!!
間違ってもそんなことあるはずないじゃないですか!
千春さんだって、夏美さんをご存じでしょう?
あんな素敵な奥様がいらっしゃるのに、堤さんが私なんかをそういう目で見られるはずがありません!」

「まぁ、それはともかく、あなたがそういうことをする人ではないってことは信じてるわ。
でもね、やっぱり世間の目ってものがあるじゃない。
夏美さんも一緒の時なら問題はないと思うし、まぁ小太郎ちゃんがいてくれたらまだ良いけれど、ご主人が一人っきりの時に行くのはやっぱりどうかと思うわよ。
何もなくても、鈴木さんみたいに、他人のことをあれこれ詮索したがる者は多いから……
あなただっておかしな誤解をされたらいやでしょう?」



(翔君ママ……酷い……!)



「そういえば、鈴木さん…あなたのこともあれこれ聞いてたわよ。」

「あれこれ……って?」

「年齢とか、どこに住んでるんだとか、結婚はしてるのかとか……」

「そ、それで……答えられたんですか?」

「年齢は言ってないわ。
住んでるのは、市内だって言っておいた。
結婚については、独身だって言ったけど……」

それを聞いた途端、頭の中の血が流れる音がどくどくと聞こえるような気がした。



きっと、バレる……
翔君のママが堤さんと話してて、そして私の話題でも出たら……



(い、いえ、そんなことはないわ。
こないだだって、昨日だって、堤さんは翔君ママとはほとんどしゃべられてない。
特に私の話題なんて出るはずがない。)



私は自分に言い聞かせるようにそんなことを考えたけれど、それでもやっぱり不安で不安で仕方なかった。