幸せの花が咲く町で

「そ、そんなことはありません。
堤さんみたいな経験をされたら誰だって……」

「僕が…あの時この町に来なければ……
そしたら、両親はあんな事故には遭わずに済んだんじゃないかって……
そう思うと苦しくて苦しくて……」

話せば話すほど、感情が噴き出していた。
恥ずかしいし、情けない。
普段の僕ならこんな話をするはずないのに……



「違うと思います!」

篠宮さんは僕の瞳を真っ直ぐに見据えて、ひときわ大きな声でそう言った。



「多分……人の生き死にはもう最初から決まってるんじゃないかって……
私はそんな風に思ってます。
堤さんが、もしも予定を変えられてても……悲しいけれど、ご両親はやはりそうなる運命だったんじゃないかって……」

篠宮さんは、両親が死んだのは僕のせいじゃないと言ってくれてるわけで……
本心なのか、僕を気遣ってくれてるのかはわからないけど、それはありがたいこと……なのに……



「そうでしょうか?
僕が来なければ、あんな雨の日に両親は外に出たりしなかったんじゃないでしょうか?
だったら、きっと死ぬようなことはなかった……
それともなんですか?
家の中にトラックでも突っ込んで来るとでも言われるんですか?
それとも飛行機が墜落ですか?」

僕は篠宮さんを責めていた。
少しも悪くない篠宮さんに八つ当たりをしていた。



「それに、だいたい、どうして僕の両親が死ななきゃいけなかったんです?
自慢じゃないけど、両親は人から好かれるタイプの人だった。
少なくとも、恨まれるような人じゃなかった。
周りに大きな迷惑をかけることもなく、真面目に生きていた人達です。
それなのに…どうして、そんな二人が死ななきゃいけないんです?
しかも、どうしてあんなイカれた男に轢き殺されなきゃいけないんだ!
もしも、それが運命だというのなら、僕はそんな運命を与えた神が憎い!憎くてたまらない!
世の中には、もっと悪い奴が山ほどいるっていうのに…どうして母さん達が……」

話すうちにどんどん感情が高ぶっていくのが自分でもわかった。
身体の中に流れる血が、沸々と沸き上がるのがよくわかった。
心の奥に抑え込んでいた気持ちが、噴水のように噴き出した。