「ここは……僕が初めてこの家に来た時には、ここには何もなかったんです。」
「……え?」
「両親がここを何に使っていたのか、もしくは何に使うつもりだったのか、今となってはもうわかりません。
……それで……僕が初めて買ったのがこの仏壇で……」
鼓動が速くなり、話すのがだんだん苦しくなって来た。
それでも、僕は何かに突き動かされるように話を続けた。
「僕の家にはずっと仏壇がなかったんです。
私達が死んだら、立派な仏壇買ってね!なんて……母さんがそんな冗談を言ったことがありましたが、本当にそうなってしまった……
この部屋は、まるでそうなることがわかってたみたいに、何もなくて……だから、ここに仏壇を置くことになって……」
「堤さん……だ、大丈夫ですか?」
篠宮さんは心配そうな顔をして、僕にハンカチを差し出した。
僕はその時初めて、自分が涙を流していることに気付いた。
「まだ死ぬような年でもなく……しかも、健康だった二人がこんなことになるなんて……
僕は、考えてもみなかった……
世間ではよく虫の知らせ…なんて話を聞きますが、僕はそんなものも少しも感じなかった……」
篠宮さんは、黙って僕のくだらない話を聞いてくれた。
止めようにも止まらない……
涙もつまらない話もどちらも僕には止められなかった。
「だから、僕はこの部屋が嫌いなんです。
……怖いんです。
ここに来たら、両親が死んだという現実を突きつけられる。
……わかってるんですよ?
頭ではよくわかってるんです…二人が死んだこと……
僕は事故を目の前でも見ましたし、はっきりとわかってるんです。
なのに、まだどこか信じられない……信じたくないのかもしれません。
だから、ここにはあまり近寄らないようにしてて…だけど、時折、話したくなってここに来て……
自分でもよくわからないんです。」
「堤さん、すみません!
私が軽々しいことを言ってしまったせいで、あなたをこんなに苦しめて……」
僕は頭を振った。
「そうじゃありません。
僕が、弱いからなんです……」
それは本心だった。
あまり親しくない人の前で、いい歳をした男が泣き顔をさらしてしまうなんて、ありえない。
(僕は、弱い人間なんだ……)
「……え?」
「両親がここを何に使っていたのか、もしくは何に使うつもりだったのか、今となってはもうわかりません。
……それで……僕が初めて買ったのがこの仏壇で……」
鼓動が速くなり、話すのがだんだん苦しくなって来た。
それでも、僕は何かに突き動かされるように話を続けた。
「僕の家にはずっと仏壇がなかったんです。
私達が死んだら、立派な仏壇買ってね!なんて……母さんがそんな冗談を言ったことがありましたが、本当にそうなってしまった……
この部屋は、まるでそうなることがわかってたみたいに、何もなくて……だから、ここに仏壇を置くことになって……」
「堤さん……だ、大丈夫ですか?」
篠宮さんは心配そうな顔をして、僕にハンカチを差し出した。
僕はその時初めて、自分が涙を流していることに気付いた。
「まだ死ぬような年でもなく……しかも、健康だった二人がこんなことになるなんて……
僕は、考えてもみなかった……
世間ではよく虫の知らせ…なんて話を聞きますが、僕はそんなものも少しも感じなかった……」
篠宮さんは、黙って僕のくだらない話を聞いてくれた。
止めようにも止まらない……
涙もつまらない話もどちらも僕には止められなかった。
「だから、僕はこの部屋が嫌いなんです。
……怖いんです。
ここに来たら、両親が死んだという現実を突きつけられる。
……わかってるんですよ?
頭ではよくわかってるんです…二人が死んだこと……
僕は事故を目の前でも見ましたし、はっきりとわかってるんです。
なのに、まだどこか信じられない……信じたくないのかもしれません。
だから、ここにはあまり近寄らないようにしてて…だけど、時折、話したくなってここに来て……
自分でもよくわからないんです。」
「堤さん、すみません!
私が軽々しいことを言ってしまったせいで、あなたをこんなに苦しめて……」
僕は頭を振った。
「そうじゃありません。
僕が、弱いからなんです……」
それは本心だった。
あまり親しくない人の前で、いい歳をした男が泣き顔をさらしてしまうなんて、ありえない。
(僕は、弱い人間なんだ……)



